道路を取り込んで実測値と比較してみる
私の使っているMetashapeはスタンダード版なので、標定点を使用した精度補正などが出来ません。
かと言ってプロ版はちょっと高価すぎるので、スタンダード版で写真のみでどれぐらいの精度が出ているのかを検証してみました。

場所は近所の道路です。
Metashapeで3Dモデル化を行い、マンホール中心や鋲、杭の距離をレーザー距離計で測定して、実測値とモデル上の距離を比較して検証してみます。
写真の撮影
今回は路面の撮影なので、ポールを使用して3mほどの高さから真下を撮影します。
カメラはyi4k(アクションカメラ)を使用しました、1200万画素で14mm程の画角になります。
カメラはスマートフォンからリモートでアングルを決めて、0.5秒のインターバルで撮影しました。

Metashapeでの解析
幅6m程の道路を2往復撮影して、286枚を撮影しました。
普通の歩行速度で70%ぐらいのオーバーラップで撮影出来ています。

今回はyi4kのカメラキャリブレーションデータも使用しています。
また、Metashapeでのカメラアライメントと高密度クラウドの設定は全て「高」で行っています。
路面オブジェクトなのでメッシュ構築は、サーフェイスタイプをハイトフィールド(2.5D)で作成しました。
実地測定
実地測定はレーザー距離計Bosch GLM250vfを使用して、赤でマーキングした紙箱をターゲットに測定しました。
GLM250vfの測距精度は1mmですが、紙箱の傾きや高さ・ブレなどで誤差は最大10mm程度はあると思います。

2点間の距離は3回ずつ往復で測り、その平均値を採用しました。
マンホール中心x2・鋲・中心杭x2・市基準点・マンホール穴・縁石角部分の、合計で8点を測りました。(距離は全て斜距離になります)

実測結果は上記の様になりました。
左右のマンホールを結んだ緑色の線を基線としてCINEMA4D上でモデルの寸法を合わせていきます。
オブジェクトの測定
MetashapeからオブジェクトをFBXファイルでエクスポートして、CINEMA4D上でリサイズし点間距離を測定していきます。
測点に球体オブジェクトを配置して、測定ツールで基線の距離を測ります。
基線の距離が30.917mだったので、正しい長さの28.024m÷30.917=0.9064268848853382を求め全体をスケールしてサイズを合わせます。

スケールは合ったので、後は各測点間の距離を同じように測っていけば完成です。

まとめ
測定結果をプロットしてみました。
赤文字が実測値、緑文字がMetashapeでスキャンしたモデルの測定値、カッコ内が差の量です。

縁石角は高さがありポリゴンが崩れていたので除外すれば、概ね誤差30mmに収まっているようです。
道路中心でも隅でも精度はそれほど変わっていないので画像のみだとこれぐらいのばらつきが出るようです。
今回は平面なので、Metashapeでの取り込み条件としては良い状態です。この条件で基線(約30m)に対して1/1000(0.030m)の誤差が出ているので、やはり標定点を使って誤差を補正していかないとこれ以上の精度は厳しいかもしれません。
今回、写真のみでどれぐらいの精度が出るのか分かったので、オブジェクトのアタリを取り込んだりするときに生かせると思います。